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【0部の本当の理由】c108で何が起きたのか?詳細を考察してみた。

公開日:2026/08/18(火) 08:41 /更新:2026/08/18 /XmasFantasy

【0部の本当の理由】c108で何が起きたのか?詳細を考察してみた。

前回の記事で、コミックマーケット108での頒布数が0部だったことを書きました。今回はその続きとして、「なぜ0部だったのか」を、落ち込みとしてではなく、一つの構造として分解してみます。感情で片づけると次に活きないので、できるだけ冷静に、事実として。

そもそも「0部」は何を意味するのか

0部という数字は、単に「売れなかった」ということ以上の情報を含んでいます。1部でも出ていれば、それは「届く経路が存在した」という証明になります。0部というのは、その経路そのものが最初から一本も通っていなかった、ということです。

だから考えるべきは「魅力が足りなかったか」ではなく、「そもそも作品が人の目に触れ、判断される段階まで到達していたか」です。私の場合、答えは明確に「到達していなかった」でした。

理由1:媒体と場の文化が噛み合っていなかった

コミックマーケットの通路は、一瞬で情報が判断される場所です。歩きながら、視界の端で、表紙一枚で「これは何か」が伝わる。同人誌という媒体は、その環境に最適化された形をしています。表紙が看板であり、中身の予告であり、価格帯の合図でもある。

私が持ち込んだのは、音楽CDとマンガのライセンスキーCDでした。CDケースは、通行人の視点からは「中身が見えない箱」です。どれだけ中身に音楽と世界観を込めても、その情報は外側に一切出ていません。白いケースの積み重ねは、通路の速度の中では在庫の山にしか見えなかった――これが理由の第一です。

媒体が悪いのではありません。CDという媒体が持つ「開かないと分からない」という性質が、一瞬で判断されるこの場と、根本的に相性が悪かった。それだけのことです。

理由2:情報が「箱の外」に出ていなかった

私はブースに音楽を流し、動きのある演出を加えたいと考えていました。希望王女サンタリアという作品は、絵だけでなく、音と世界観と動きが合わさって初めて伝わるものだからです。

しかし会場の熱気と騒音の中で、その音は鳴りませんでした。正確に言えば、鳴っていたとしても、隣を歩く人の耳には届いていませんでした。動きのある演出も、立ち止まってもらえなければ再生されません。私が「込めたつもり」のものは、すべて箱の内側と、私の頭の内側にとどまっていた。外を歩く人にとって、そのブースは無音で、静止していたのです。

作品の価値は、受け手に届いて初めて価値になる。届く前の価値は、まだ誰のものでもない。

理由3:「立ち止まる理由」を設計していなかった

通路を歩く人が立ち止まるには、コンマ数秒で「気になる」と思わせる引っかかりが要ります。それはたいてい、表紙のインパクト、絵の力、あるいは「これは何のジャンルか」が即座に分かる分かりやすさです。

私のブースには大きなイラストポスターも、手作りのアクセサリーも、名刺もありました。要素はあった。しかしそれらは「立ち止まった人に見せるもの」であって、「立ち止まらせるもの」ではなかった。順番が逆だったのです。まず足を止めてもらう設計が抜けていて、その先の情報だけが充実していた。

理由4:目的そのものが、実は販売ではなかった

ここが、いちばん正直に書いておきたい部分です。

私は本心では、物を売りたいとは思っていませんでした。この作品はお金で回すのではなく、愛で歩いてほしいと思っていた。商業の流れに乗せてしまうことに、むしろ恐れがありました。

その気持ちを抱えたまま、販売・頒布を目的とする即売会に出た。心の重心と、その場でやるべきことが、最初からずれていたのです。0部という結果は、技術的な失敗であると同時に、この根本的なずれが数字になって表れたものでもあったのだと思います。売ることに全力を注ぎきれない自分が、どこかにいた。

では、何が「本当の理由」なのか

媒体、伝達、立ち止まりの設計――これらは技術的な理由です。改善しようと思えばできる。次はもっと表紙的なものを作り、音を届く形にし、足を止める仕掛けを用意すればいい。

しかし、それらの技術的理由の奥にあった「本当の理由」は、もっと単純でした。私がやりたかったのは、その場で物を売ることではなかった。私がやりたかったのは、この世界観を、必要としている人に、必要な形で届けることでした。即売会という場は、その目的にとって最適な場所ではなかった。ただ、それだけのことだったのだと思います。

理由5:そもそも、参加する「日」と「ジャンル」を間違えていた

ここまで媒体や伝達の話を書いてきましたが、もっと手前の、申し込みの段階での判断ミスがありました。今になって振り返れば、これがいちばん大きかったかもしれません。

ひとつは参加日付です。コミックマーケットは日によって集まるジャンルの傾向が大きく変わります。自分の作品と親和性の高い層が多く集まる日を選べていたか――正直に言えば、選べていませんでした。同じブース、同じ品物でも、周囲を歩く人の関心とかみ合う日であれば、結果は違っていたはずです。人の流れそのものが、自分の作品を探している人の流れではなかった。

もうひとつはジャンルです。私は希望王女サンタリアを「マンガ・音楽」の枠で出しました。しかしこの作品の本当の強みは、世界観そのものにあります。だとすれば、ゲームというジャンルで参加するべきだった。ノベルゲームやインタラクティブな形であれば、音楽も、世界観も、動く演出も、その場で一体として体験してもらえる。CDケースの中に閉じ込めるしかなかったものが、ゲームという器なら最初から開いた状態で差し出せたのです。

実際、次はゲームでの参加を構想していました。媒体と場と作品性、この三つがゲームというジャンルでなら初めて一本の線でつながる。今回の0部は、その線をまだ引けていなかった証でもあります。

今後について――コミケという場との距離

今後コミックマーケットに出るかどうかは、まだ決めていません。出ないかもしれない。まだ何も決まっていない、というのが正直なところです。

ただ、ひとつ確かなことがあります。希望王女の歩みは、止まりません。ここだけは、0部という結果に何ひとつ揺らがされていません。

次の段階――法人化、そしてアメリカ法人の著作物へ

今、真剣に考えているのは、この作品を会社化するか、あるいはついに、アメリカ法人が完全に所有する著作物として位置づけることです。おそらく後者の方向に進むと思います。

そうなると、ひとつ現実的な変化があります。作品が法人の所有物になると、同人イベントには「個人サークル」としては参加できなくなります。コミックマーケットは基本的に個人・非商業の場ですから、法人扱いの作品はその枠に収まりません。つまり、今回の0部は、はからずも「個人サークルとして即売会に出た最後の記録」になるのかもしれません。

そしてこれが不思議なのですが、私はこの変化に、とてもワクワクしています。即売会の通路で箱を積んでいた作品が、ひとつの法人の所有する、守られた著作物になる。愛で歩いてほしいと願ったこの世界が、きちんとした器を得て、次の段階へ進んでいく。0部の一日を経て見えてきたこの道は、閉じていく道ではなく、ひらいていく道です。

会いたかった人たちへ

最後に、これは考察ではなく、ただの心残りです。

本当は、あの会場で会いたい人がたくさんいました。ZUN氏をはじめ、これまで作品を通して尊敬してきた作り手の方々。同じ場所に立って、少しでも言葉を交わせたら――そんな思いも、参加の理由の中には確かにありました。

けれど0部という現実の前で、私はすっかりその気になれなくなってしまいました。午前中で会場を後にしてしまった私には、誰かに会いに行く気力は残っていませんでした。それが、いちばんの無念です。作品が届かなかったこと以上に、会いたかった人に会いに行けなかった自分の弱さが、今も少しだけ心に残っています。

でも、それもまた次への燃料にします。次に同じ場所に立つときは――それが即売会であれ、別の形であれ――胸を張って、会いたい人に会いに行ける自分でありたい。

この考察を、次へどうつなげるか

だから私は、コミックマーケットへの参加形態を根本から見直すことにしました。C109への出展は見送ります。これは撤退ではなく、目的に合った場所へ移動する、という判断です。

xmasfantasy.orgでの連載は続けます。ウェブは、CDケースと違って中身が最初から開いている。音楽も、世界観も、動く演出も、訪れた人の画面の中で、そのまま再生されます。箱を開けてもらう必要がない。私の作品にとって本来ふさわしい「箱の開いた場所」は、こちらだったのかもしれません。

そして、IBCとしての非営利の活動へと重心を移していきます。売ることを目的にしないなら、非営利という形は、私の本心とまっすぐつながっています。


0部という数字を、失敗として閉じることもできました。でも一つずつ分解してみると、そこには「次にどこへ行けばいいか」を教えてくれる情報が、たくさん詰まっていました。うまくいかなかったことは、うまくいく場所を指し示してくれる。今はそう受け止めています。

ここまで読んでくださって、ありがとうございました。

Fr.星乃歩 / 生命物語

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結構 素晴らしいお言葉を頂いたので夜 記事更新します。希望王女の骨格だと思う!魔法少女なままじゃダメね..,頑張ろう!

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